事業の内容
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/ 原文長 約8059文字
3 【事業の内容】 当社は、新規の「がん免疫治療薬」の開発に領域を定める、臨床試験段階にあるパイプラインを有する創薬ベンチャーです。事業モデル、技術の特徴は以下のとおりであります。 (1) 事業モデル 当社の事業モデルは、新規がん免疫治療薬を自社創製もしくは導入し、探索研究から早期臨床試験までを手掛け、国内外の製薬会社に開発製造販売権をライセンスアウトし、ライセンス先からライセンス収入を得るものです。 医薬品開発は上市までに一般的に10年以上かかります。よって、開発投資が先行し、後期段階になるほど要する資金が大きくなります。投資を早期に回収する仕組みを作らなければベンチャーで創薬を行うことは難しいですが、現在は承認薬に至ったシードのうち、直近ではベンチャーが創製するシードの数が、従来の大手製薬企業のそれを上回るようになっていることからもわかるように、医薬品産業においては大手製薬企業が開発途上にあるベンチャー創製シーズを導入する仕組みが成立しています。 この事業モデルでは、上市前の開発段階で、ライセンス先製薬企業から開発進捗に応じたライセンス関連収入(ライセンス契約締結時の一時金、その後開発進捗に応じて設定したマイルストンを達成する毎に得られる開発マイルストン収入、上市後は製品売上高の一定割合を得る販売ロイヤリティ収入等)を得ることを目指します。ライセンス後もライセンス先企業と共同開発し、開発費の貢献に合わせて将来の利益を按分したり、ライセンス先から開発協力金を得て開発を主導する等、色々なバリエーションがあります。 当社は、様々な開発ステージにあるパイプラインの開発を同時並行で進めることにより、投資早期回収と黒字転換後の継続的な収入の実現を図ります。 (2) 開発中のがん免疫治療薬の特徴 当社は「一人ひとりが、自らの力で、がんを克服する世界を実現する」ことを目指し、新規のがん免疫治療薬の開発を行っています。 がん免疫療法は、がん細胞に対する免疫反応(がん免疫)を惹起または増強させ、がん免疫によりがん細胞を殺傷し、腫瘍縮小、がんの進行・転移抑制、再発予防を図るものです。がん治療には約50年に一度生存率を大きく改善する治療法の革新が起こってきましたが、がん免疫治療は、近年において、外科手術・放射線療法・化学療法に次ぐ「第4の治療」としての地位を確立しました。特に、免疫チェックポイント阻害抗体 ※1 は、多様ながん種、がんのステージにおいて標準療法に組み込まれ、がん治療を大きく変えました。…
経営方針・経営戦略・対処すべき課題
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/ 原文長 約1681文字
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 経営の基本方針 当社は、「私たちは、がん免疫治療分野の最先端を切り拓くことにより、一人ひとりが自らの力でがんを克服する世界を実現します。」を経営理念として、新規がん免疫治療薬を創製することによって、現在進行しているがん治療革新の一翼を担いたいと考えております。 これを実現するために、当社は①開発領域をがん免疫治療薬に特化し、②シーズ導入・創製において国内外のアカデミアやベンチャー企業と広く連携するオープンイノベーションを進めながら、③ライセンスアウト型事業モデルによる好循環で持続可能な開発および企業成長を目指してまいります。 ① がん免疫治療薬にフォーカスするのは、がん免疫に働きかけてがんを排除するという創薬コンセプトの有効性が免疫チェックポイント阻害抗体によって証明されており、この創薬コンセプトを具現化する方法を拡げることによって、従来の治療法では治療効果を得られなかったアンメットメディカルニーズを満たすことができるフロンティアが依然として大きく存在するからです。それは、当社が創業以来取り組んで来た経験とノウハウの蓄積がある領域であり、世界の医薬品市場の成長を他のどの医薬品カテゴリーよりも牽引している領域でもあります。 ② オープンイノベーションを進めるのは、今や日進月歩でサイエンスが更新されていくがん免疫療法の領域において、最先端のサイエンスへのアクセスを可能にするためです。がん免疫治療のフロンティアには、アンメットメディカルニーズを満たすためのサイエンスがまだ数多く存在しています。創薬ベンチャーとして創薬を好循環で進めるために、当社は③のライセンスアウト型の事業モデルを採っています。知的財産を導出することによって収益化を図るモデルで、その知的財産は、最先端のサイエンスが織り込まれていないと成立しません。 ③ ライセンスアウト型の事業モデル(シーズの創製や創薬コンセプト証明に集中し、大掛かりな組織体制を必要とする後期臨床試験以降は、製造販売網を有する製薬企業にライセンスアウトして早期収益化を図る事業モデル)を採るのは、創薬ベンチャーとして開発を持続して行えるようにするためです。一つひとつの新規医薬品候補物質の研究開発は、シーズの創製から規制当局の承認を得て医薬品として製造販売に至るまで、薬事規制等に則って探索的研究から第三相臨床試験まで段階を踏みながら進められ、全体として長期間におよぶとともに多額の資金を必要とします。よって、財務負担が蓄積し経営の機動性を喪失する前に、早期収益化を図ります。…
対処すべき課題
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/ 原文長 約2217文字
(4) 会社の対処すべき課題 今後もライセンスアウトの動向及び財務状況を鑑みながら研究開発を積極的に推進又は新規投資・導入を行い、企業価値の向上を図っていくために、研究開発活動の質及びその研究開発活動を支える企業活動の基盤としての経営の質を向上させる必要があると認識しております。当社が対処すべき事項として認識している事項は、以下のとおりです。 ① 競争力のあるパイプラインのポートフォリオ構築 当社は創業以来がんペプチドワクチンを中心にパイプラインを構成してきましたが、近年がん治療の新時代を築き、当社が開発領域として焦点を定めているがん免疫治療薬の形態(モダリティ)も多様化へ向かい、治療効果が証明され後続が列をなす抗体(免疫チェックポイント阻害抗体)や細胞(CAR-T)では承認薬も出て、16年前の創業時から様変わりしております。 当社も、免疫調整因子抗体と細胞医薬を開発領域に加えており、さらにがんペプチドワクチン自体も、多数のがん患者に共有される共通抗原(がんの目印)を標的とするITK-1から、共通抗原と免疫チェックポイント阻害抗体を組み合わせる複合的がん免疫療法を志向するGRN-1201へ、さらに、患者ごとにほぼ完全に異なる遺伝子変異抗原を標的として個別にジャスト・イン・タイム製造するネオアンチゲンワクチンへと展開しております。 当社は現時点では新薬候補を後期臨床試験に至る前に製薬企業にライセンスアウトする事業モデルを採っており、ライセンスを成功させるためには当該新薬候補がその時点でサイエンスの面で陳腐化していてはならず、さらにがん免疫療法は全医薬品業界の成長を牽引する領域であるからこそ日進月歩でサイエンスが進んでいるため、当社は常に同分野全体のサイエンスが向かう方向性と進捗を見ながら、各パイプラインの開発ステージを探索から非臨床試験、そして臨床試験へと一定期間内に上げて行くとともに、必要に応じてパイプラインの入れ替えを図っていく必要があります。 ② 最先端のサイエンスへのアクセスを可能とする研究開発体制の構築 当社が関わるがん免疫療法は、医薬品業界の成長を牽引するとともにサイエンスが日進月歩で進展する領域であるため、社内に専門性の高い研究員と充実した研究施設を有することが不可欠で、現在も研究施設として川崎創薬研究所を構えておりますが、常にこれを向上させていく必要があります。 さらに、研究開発体制を社内に留めることなく社外にもオープンイノベーションの機会を積極的に求めて行くことが、この領域の最先端のサイエンスの情報収集のみならずパイプラインの充実と迅速なアップデートのためにも不可欠で、現在も国立がん研究センター、東京大学、三重大学、神奈川県立がんセンター、理化学研究所など本邦を代表する研究機関との共同研究を進めております。…
経営成績・財政状態の概況
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/ 原文長 約3147文字
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (業績等の概要) (1) 業績 当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)の世界経済は、保護主義的な通商政策の影響などにより経済成長に減速傾向が見られていた中、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が起こり、2020年は戦後最大の経済成長の落ち込みの見通しが示されるなど、極めて先行き不透明な状況となりました。わが国の経済も、概ね緩やかな回復傾向を示してはいたものの、COVID-19が拡大し、医療崩壊を避けるための経済活動自粛が続く中で、インバウンド消費、内需、輸出等が大幅に減速し、先行き不透明な状況となりました。 当社の開発領域であるがん免疫治療薬は、これまで約50年に一度起こってきたがん治療の革新をここ5年でもたらし、適応されるがん種の拡大とモダリティ(医薬品形態)の多様化が進み、依然として医薬品産業成長の牽引役となっています。それでも、がん免疫療法にブレークスルーをもたらした免疫チェックポイント阻害抗体の単剤の奏効率は多くのがん種で10-40%程度にとどまっており、アンメット・メディカルニーズは未だ大きく、「がん免疫」という科学的に証明されたメカニズムを用いた治療薬ががん治療の革新をさらに推し進める余地は大きく拡がっています。 このような環境下で、当社は「一人ひとりが、自らの力で、がんを克服する世界を実現する」ことを目指し、新規のがん免疫治療薬に開発領域を特化し、がんワクチン、細胞医薬、抗体医薬モダリティに関する、探索から早期臨床試験段階にある複数のパイプラインの開発を、同時並行で進めてまいりました。 パイプラインの中で現在臨床試験段階にあるのが、がんペプチドワクチン(GRN-1201)で、現在は米国で、非小細胞肺がんを対象に、免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブとの併用による第二相臨床試験を進めています。 次に臨床試験段階に入るのが、細胞医薬パイプラインのiPS細胞由来再生NKT細胞療法(iPS-NKT)で、国立研究開発法人理化学研究所と国立大学法人千葉大学が主体となって、頭頸部がんを対象とする医師主導治験がまもなく開始される予定で、現在準備が進められています。 これらに次いで臨床試験に進むべく非臨床試験を実施中であるのが、次世代のがんワクチンとなる完全個別化ネオアンチゲンワクチン(BP1101)、当年度に国立大学法人信州大学から導入したHER2 CAR-T細胞療法(BP2301)、同じく当年度に国立大学法人大阪大学らから導入したTLR9アゴニスト(BP1401)です。…
セグメント関連
抽出本文
/ 原文長 約72文字
【セグメント情報】 当社の事業セグメントは、医薬品開発事業のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。
主要な顧客・販売先
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/ 原文長 約2859文字
5.前事業年度の大日本住友製薬株式会社に対する販売実績につきましては、当該割合が10%未満の為記載を省略しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容) 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は下記のとおりであります。なお、当社は、医薬品開発事業の単一事業であるため、セグメント別の業績に関する記載を省略しております。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において当社が判断したものであります。 (経営指標について) 当社は、創薬ベンチャーであり、研究開発活動という投資期間が長く、その研究開発活動の成果として、ライセンスアウトによる契約一時金やマイルストン収入等などを獲得するビジネスモデルであります。 中長期的視点からの経営の安定化、企業価値の向上を目指して、また著しい技術革新がなされ、大きな期待を受けているがん免疫治療薬分野における大きな事業機会を逃さないために、既存のパイプラインの推進のみならず、新規のパイプラインを積極的に導入していく方針であります。 従いまして、売上高や当期純損益の推移やROE、ROAといった経営指標を目的とすることはせずに、現預金残高の推移、研究開発活動の効率化、パイプライン数の拡大・充実について、財務状況を勘案しながら、早期のライセンスアウト及び黒字化の実現に向けて、事業を進めてまいります。 (1) 重要な会計方針及び見積り 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。この見積りに関しては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づいて合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと相違する可能性があります。 (2) 当事業年度末の財政状態の分析 ① 資産の状況 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末より 1,829,824千円減少 し 3,474,639千円 となりました。 これは研究開発等に関連する支出により 1,882,820千円 現金及び預金が減少したことが主な理由であります。 また、当事業年度末における資産の内訳としましては、現金及び預金が 3,018,356千円 と、資産の合計の86.9%を占めており、研究開発を推進していくにあたり、当面の資金は確保している状況にあります。 今後の現金及び預金の残高推移については、株式市場等からの資金調達やライセンスアウトによる契約一時金収入・マイルストン収入の獲得が実施されるまでの期間において、主に研究開発費用及び研究機器等の購入に伴う支出により減少する傾向にあります。…