事業の内容
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3 【事業の内容】 (1) 事業の背景 ① キナーゼへの着目 がん疾患、リウマチなどの免疫・炎症疾患、アルツハイマー病などの神経変性疾患では、生体恒常性機能に異常をきたしており、生体内では異常なシグナル伝達が起こっていることが知られています。この原因と考えられている分子のひとつに、細胞内外の情報伝達をつかさどるキナーゼ(*)と呼ばれる酵素があります。このキナーゼが遺伝子変異やストレスなどによって異常な働きになった場合には、シグナル伝達機能に支障をきたし病気につながることが知られています。当社は、このキナーゼを主な創薬標的として画期的な新薬の創製を目指し研究開発を行っております。 ② キナーゼ阻害薬の活躍 がん、炎症、リウマチなどの疾患では、細胞のなかに存在する特定のキナーゼが遺伝子変異やストレスなどによって異常な働きになり、それが原因となって生体恒常性機能に異常を引き起こしていることが徐々に明らかになってきました。しかしながら、キナーゼは生体内に500種類近く存在し、生命機能において大変重要な働きを担っているため、近年になるまで、キナーゼを阻害する薬の開発は副作用懸念のために進んでいませんでした。 その流れを変えたのが、2001年に米国で販売が開始されたBCR-ABLチロシンキナーゼを選択的に阻害する慢性骨髄性白血病治療薬のグリベック® (一般名:イマチニブ、製造販売元:Novartis AG)の成功です。この成功により、特定のキナーゼの働きのみを選択的に抑制する、安全で有効な分子標的薬(*)の研究が製薬企業で活発に進められるようになり、その後、様々ながんの治療薬として次々に大型のキナーゼ阻害薬(*)が誕生し、多くのがん患者に届けられています。また、免疫・炎症疾患を対象としたゼルヤンツ®(一般名:トファシチニブ、製造発売元:Pfizer Inc. )が、米国FDA(U.S. Food and Drug Administration)により承認されると、キナーゼは、がん疾患のみならず、様々な疾患の創薬標的として認知され、その研究開発が拡がりをみせています。さらに最近では、欧米の製薬企業だけでなく、わが国の製薬企業が開発した低分子のキナーゼ阻害剤が相次いで上市されるなど、今後もブロックバスターと呼ばれる大型新薬を目指した製薬企業によるキナーゼ阻害薬の開発は発展していくものと予想されます。 さらに、がん治療分野における画期的な進展として、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であるオプジーボ®(一般名:ニボルマブ、製造発売元:小野薬品工業株式会社等)に代表されるがん免疫療法に基づくバイオ医薬品の相次ぐ承認が挙げられます。…
経営方針・経営戦略・対処すべき課題
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(1) 経営方針・経営戦略 当社は、創薬事業においては、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては、新たなキナーゼ阻害薬(*)創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため、営業活動に取り組んでおります。創薬事業は、 当社の研究部門が創製した医薬品候補化合物の知的財産権に基づく開発・商業化の権利を製薬会社等に導出(ライセンスアウト)し、その対価として契約一時金、一定の開発段階を達成した際のマイルストーンペイメント収入、新薬の上市後の売上高に応じた販売マイルトーンやロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルです。また、創薬支援事業は高品質なキナーゼタンパク質製品や正確なプロファイリング (*) ・スクリーニングサービス (*) を製薬企業などの研究所へ販売・提供することで、安定的な収入を獲得し、創薬事業における研究開発のスピードアップに寄与しています。 ① 創薬事業 当社の創薬研究は、アンメット・メディカル・ニーズが高いがんおよび免疫・炎症疾患を重点領域としており、有望創薬プログラムへ研究リソースを重点的に投入し、創薬の成功確率の向上と研究期間の短縮に努めながら、当社が培ってきたキナーゼ(*)に関する創薬基盤技術などを利用して、新規性の高い画期的な医薬品候補化合物の創出を目指しています。 当社の創薬事業は、製薬企業出身者が中心となって、当社のコア技術であるキナーゼ創薬基盤技術を中心に、様々な創薬標的に対する低分子医薬品の創薬研究を実施しており、次々と独自の新たなパイプラインを生み出すことができることが大きな特長となっています。また、大学等アカデミアとの共同研究も積極的に推進し、新しいコア技術の開発や新規創薬テーマの発掘のための研究を行なっています。 当社は、がん領域については臨床試験のフェーズ2まで、それ以外の疾患についてはフェーズ1または前臨床試験までのいずれかの段階で当社の創薬プログラムを製薬企業等に導出することを基本方針としております。導出契約は、導出時の研究開発のステージが高くなるほど収益性が高くなることが見込まれますが、その反面、導出に至るまでの開発リスクは高まり、必要な研究開発費は多額になります。反対に、前臨床段階など早期に導出することを想定した場合、ヒトに対する臨床データがなく、臨床開発リスクが考慮されるために、導出先製薬企業等から獲得する収益は低くなる可能性があります。当社が創出した医薬品候補化合物が臨床試験を経て上市する成功確率を高めるためには、臨床試験段階のパイプラインを複数保有することが重要です。…
対処すべき課題
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(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ① 当社グループとしての課題 当社は創薬ベンチャーとして、画期的な新薬を一日も早く世に送り出すことを目指して事業を行っております。中長期的に研究開発費を先行投資するビジネスモデルとなっており、当面、損失の計上が継続する可能性があります。迅速かつ効率的に研究開発を進めるためには、必要な資金を計画的に確保することが課題です。当社は、導出済みの創薬パイプラインからのマイルストーン収入および新たなライセンス契約締結による導出一時金の獲得や、創薬支援事業からの営業キャッシュ・フローによる資金確保に努めるとともに、必要に応じて、新たな資金調達を検討してまいります。また、当社の企業価値を高めるため、パイプラインの臨床試験を着実に進めるとともに、パートナリング活動を推進してまいります。 ② 創薬事業 当社は、BTK阻害剤AS-1763について、治療歴を有する慢性リンパ性白血病(CLL)・小リンパ球性リンパ腫(SLL)およびB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-cell NHL)の患者を対象としたフェーズ1b試験を米国で実施しております。また、CDC7阻害剤monzosertib(AS-0141、固形がん対象)のフェーズ1試験を日本で実施しており、これらの臨床試験を着実に進めていくことが最も重要と認識しております。導出活動については、創薬パイプラインごとに最適な戦略を立てたうえで、当社創薬パイプラインの価値を最大化できるよう取り組んでおります。フェーズ1試験(オランダ)を完了したBTK阻害剤sofnobrutinib(AS-0871、免疫・炎症疾患対象)については、導出先あるいは共同開発によるフェーズ2試験の実施を目指しており、パートナリング活動を推進してまいります。さらに、医薬品候補化合物の開発が滞りなく実施できるよう、引き続き臨床開発体制の強化を進めてまいります。また、切れ目のない創薬パイプラインの構築を目的として、次世代の研究ターゲットにも取り組んでまいります。 ③ 創薬支援事業 創薬支援事業においては、顧客ニーズに基づいた独自性の高い製品・サービスの開発を進め、キナーゼに関する専門知識に基づく学術営業を通じ、既存顧客との関係をさらに強化すると同時に、新規顧客を獲得することが重要と考えております。地域的には、市場規模が大きくバイオベンチャーが次々と誕生する米国市場および市場が拡大している中国での売上拡大に注力します。当社グループのみが提供している製品・サービスを中心に積極的に顧客への提案を行い売上拡大に取り組むことで、安定的な売上確保を目指してまいります。…
経営成績・財政状態の概況
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4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績の状況 当社は、創薬事業においてはアンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては新たなキナーゼ阻害薬創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため営業活動に取り組んでおります。 当連結会計年度のセグメント別の事業活動は以下のとおりです。 ① 創薬事業 がん領域では、ベストインクラスの可能性を有する次世代非共有結合型BTK阻害剤AS-1763に注力して、現在、患者様を対象とした臨床試験を米国で実施しています。またファーストインクラスを目指して、CDC7阻害剤monzosertib(AS-0141)の開発も進めており、患者様を対象とした臨床試験を日本で実施しています。免疫・炎症疾患領域では、当社が創出した、もう1つの非共有結合型BTK阻害剤sofnobrutinib(AS-0871)の開発を進め、健康成人を対象としたフェーズ1試験が2023年第4四半期に完了しました。sofnobrutinibの導出活動を本格的に開始するために、当該結果を基にした導出パッケージの作成も完了しています。また、当社は、米国ギリアド・サイエンシズ社(以下「ギリアド社」)に、当社が創出した新規脂質キナーゼDGKα阻害剤のプログラムを導出しており、ギリアド社は現在、本プログラムから見出された開発中のDGKα阻害剤GS-9911について、固形がん患者を対象としたフェーズ1試験を実施中です。当社は、2023年12月にフェーズ1試験が開始されたことに伴い、2回目のマイルストーン・ペイメント500万ドル(707百万円)を受領いたしました。契約一時金、マイルストーン・ペイメントを合わせて最大で合計470百万ドルのうち、これまでに契約一時金、1回目のマイルストーン・ペイメントと合わせて計35百万ドル(約40億円)を受領しております。さらに、住友ファーマ株式会社とは、精神神経疾患を標的とした創薬プログラムの共同研究を行っています。…
セグメント関連
抽出本文
/ 原文長 約1122文字
3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報 前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日 ) (単位:千円) 報告セグメント 調整額 (注)1 連結財務諸表 計上額 (注)2 創薬支援事業 創薬事業 売上高 外部顧客への売上高 1,100,703 286,045 1,386,748 1,386,748 セグメント間の内部 売上高又は振替高 1,100,703 286,045 1,386,748 1,386,748 セグメント利益又は損失(△) 452,752 △ 1,722,641 △ 1,269,888 △ 1,269,888 セグメント資産 685,179 373,032 1,058,211 3,208,242 4,266,453 その他の項目 減価償却費 21,061 12,746 33,808 33,808 有形固定資産及び 無形固定資産の増加額 57,508 68,492 126,001 126,001 (注) 1. セグメント資産の調整額3,208,242千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。その主なものは、提出会社の余資運用資産(現金及び預金)等であります。 2. セグメント利益又は損失の金額は、連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。 当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日 ) (単位:千円) 報告セグメント 調整額 (注)1 連結財務諸表 計上額 (注)2 創薬支援事業 創薬事業 売上高 外部顧客への売上高 918,239 707,650 1,625,889 1,625,889 セグメント間の内部 売上高又は振替高 918,239 707,650 1,625,889 1,625,889 セグメント利益又は損失(△) 225,567 △ 1,342,546 △ 1,116,978 △ 1,116,978 セグメント資産 632,776 1,018,036 1,650,812 2,699,078 4,349,891 その他の項目 減価償却費 23,298 12,313 35,612 35,612 有形固定資産及び 無形固定資産の増加額 39,369 5,180 44,550 44,550 (注) 1. セグメント資産の調整額2,699,078千円は、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。その主なものは、提出会社の余資運用資産(現金及び預金)等であります。 2. セグメント利益又は損失の金額は、連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。
主要な顧客・販売先
抽出本文
/ 原文長 約563文字
4) 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称 販売高(千円) 前年同期比(%) 創薬支援事業 918,239 83.4 創薬事業 707,650 247.4 合計 1,625,889 117.2 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先 前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日 ) 当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日 ) 販売高(千円) 割合(%) 販売高(千円) 割合(%) Gilead Sciences, Inc. 175,507 12.7 719,660 44.3 Fresh Tracks Therapeutics, Inc. (旧社名 Brickell Biotech, Inc.) 227,420 16.4 Shanghai Universal Biotech Co., Ltd. 144,292 10.4 (注) 当連結会計年度におけるShanghai Universal Biotech Co., Ltd.の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10未満であるため、記載を省略しております。